2017年3月15日、朝日新聞に記事が掲載されました。

 

【全文】

知的障害者スポーツの場 経済的理由で奪われぬように

支援団体がCF(クラウドファンディング)開始

スポーツを通して知的障害者の社会参加を支援してきた「スペシャルオリンピックス日本・青森(SOA)」が、障害者が経済的な理由でスポーツをする場を奪われぬようにと、資金を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。親の死などをきっかけに、わずかな参加費をまかなえなくなるケースもあるといい、無料でスポーツを続けられるようにすることを目指している。

10人分の半年間の資金を募る

SOは4年に一度の知的障害者のスポーツの祭典。1962年にアメリカで始まり、現在は170以上の国と地域に広がっている。日本では94年にSO日本が立ち上がり、女子マラソン五輪メダリストの有森裕子さんが理事長を務める。

SO日本の県組織であるSOAは青森、弘前、八戸各市の体育館やプール、スキー場などで、月に3〜6回、バスケットや水泳、アルペンスキーなどができるプログラムを開いている。指導はボランティアが担い、現在は9〜41歳の自閉症やダウン症の人ら約50人が参加している。

理事の竹洞兼視さん(38)は「スポーツをすることが、知的障害者の自立と社会参加につながる」と話す。養護学校を卒業すると、就労先と自宅を往復するだけの生活になることが多く、地域とのつながりが薄くなりやすい。特に親の死後、自立した生活ができなくなるケースも目立つという。竹洞さんはコーチとして関わるなか、消極的だった人がSOAに参加することで、多くの人とコミュニケーションが取れたり集団行動ができるようになったりするのを見てきた。

ただ、SOAでは、過去3年間に少なくとも7人が経済的理由でスポーツを続けられなくなった。両親を亡くし、生活保護で暮らしている人の場合、1回数百円の参加費が負担となり諦めてしまうという。

今回は、親の死などで経済的に困窮している参加者10人分の半年間の参加料をまかなうため、4月17日までの予定でCFで74万円を募る。2月27日から始めたところ今月14日までに15万9千円が集まった。昨年9月のCFは、46万円の目標に対し、約1.6倍の74万円が集まったという。

竹洞さんは「支援はもちろん、こういう団体があることを知ってほしい」と話している。支援は(https://readyfor.jp/projects/sonaomori1702)からできる。支援額に応じて、りんごジュースやTシャツなどの返礼品を用意している。(山本知佳)

 

 

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 ◆朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASK2V3J1XK2VUBNB001.html